”仮想通貨は終わったのか”
仮想通貨の登場以来、そのような言葉を何度も聞いてきました。
今回はこのインパクトのある言葉から始まる岡田仁志 作の『決定版 ビットコイン&ブロックチェーン』という本を紹介しながらお話ししていきます。
この本では
- 仮想通貨やブロックチェーンの仕組み
- 仮想通貨の限界と可能性
を網羅的に理解することができます。
批判されがちな仮想通貨ですが、本当に排除すべき存在なのか。
この本では、未知の生命体を前にして人間の行動を描いた映画「シン・ゴジラ」のゴジラにビットコインをなぞらえて表現しています。
ゴジラならぬビットコインを正しく批判するためにはビットコインが駆動する仕組みをよく知ることが必要と述べています。
- よく分からないから排除しよう
- これでは科学の発展はない
- 脅威に感じてもビットコインの構造は解明しておくべき
これが大切ですね。
ただ、仮想通貨とかブロックチェーンとかの仕組みって分かりずらいですよね。
仕組みを理解しよう!よし、勉強するぞ!と思っても、ゴリゴリの技術書だったり仮想通貨全体について広く浅く紹介している本に行きついてしまうわけですが、この本はビットコインとブロックチェーンにフォーカスを当てて仕組みから可能性までしっかりと書いてあるのでとても読み応えがありました。
ビットコインになんでこんなにも価値がついているのか疑問を持っている方にはぜひ読んでみてもらいたいです。
具体的に本書ではこんなことが書かれています。
- ビットコインの仕組み
- ブロックチェーンの概念
- 仮想通貨と電子マネー
- ビットコインが辿ってきた分裂の歴史やアルトコインの誕生
- ブロックチェーンのユースケース
- ブロックチェーンによる経済システム構築と国の覇権争い
初心者の方はもちろん、経験者の方もさらに理解が深まると思いますので一度読んでみる価値は大いにあると思います!
ビットコインの駆動部分はブロックチェーン
ビットコインには運営する主体らしきものはありません。
本書ではビットコインを一反木綿のようにひらひら宙を漂って”見える人には見えるもの”と例えています。
それは私も実感していて、ビットコインって価値を信じる人には価値があるんですが、仮想通貨を知らない方からすると価値を感じていなくて、逆に実態がなくて怖い、どうしても詐欺のように感じてしまうといった声を実際に聞いたこともあります。
そんなビットコインですが、どんな仕組みを用いているか。実はブロックチェーンが基盤となって動いています。
ブロックチェーン
ビットコインのすべての取引を記録する台帳のようなもの
この台帳(ブロックチェーン)は1つの企業が1か所で管理しているのではなく、世界中に分散するノードと呼ばれるパソコンに記録されます。そしてこのノードは世界で1万個以上あります。
ノードは情報をつなぐ役目をしてビットコインのネットワークを支えています。
ビットコインが価値を持つためには
ビットコインが分散化された通貨として存続するためには、このノードが世界中に存在することが重要です。
言い換えるとこのノードが存在して記録を管理してくれる人がいる限りビットコインは価値を持ちます。
仮想通貨の趣旨に賛同した人たちが参加し十分に分散化された、中心のないフラットな構造のネットワーク、それがビットコインとなります。
マイニングが不正を働かせないための仕組み
ビットコインの駆動部分がブロックチェーンという話をしてきました。
では、ブロックチェーンが正確な台帳になるにはどうしたらいいか。それは世界中に分散する、ブロックチェーンの記録情報をもつノード達が不正を働かないようにしなければなりません。
今までのブロックチェーン
ノードの何分の1かの参加者が結託すれば事実を曲げられる。
この結託を防ぐことは不可能というアメリカの論文が出ているほど。
ビットコイン
マイニングという人間の行動原理をブロックチェーンに組み込むことで解決できる。
ビットコインの創設者であるサトシナカモトはブロックチェーンにマイニングという仕組みを組み込むことで不正を働かないようにしました。
実際、ビットコインが生まれてから数年経っていますが一度も動きを止めたことはありません。
サトシ・ナカモトが取り入れたマイニングとは
まずブロックチェーンの形はブロック(取引情報の塊)を時系列順にチェーンのように連ねて管理しています。
ブロックには「誰かから誰かへ○○BTC送金した」という情報が入っているのですが、この情報をブロックに記録していくときに必要な作業をマイニングといいます。
世界中で取引されているビットコインの送金情報(トランザクション)を集めてブロックに記録していくわけですが、このブロックの内容は改ざんできないようにしなければなりません。
その方法として「ハッシュ関数」というものが利用されます。詳しい内容は「決定版 ビットコイン&ブロックチェーン」に書いてありますのでご覧ください。
かみ砕いて言うと本書ではこのブロックを煮凝りを作るようなイメージと表現されています。
具材(数千のトランザクション)を鍋にかけて、他の料理人が最近作った煮凝り(一個前のブロックの内容)から出汁をとって、さらにスパイス(ノンス値)を加える。
- 具材(2000件程度のトランザクション)
- 最近作った出汁(一個前のブロックの内容)
- スパイス(ノンス値)→うまく固まるように分量を変えて何度も試す
料理のレシピは3要素でできあがりです。
マイニングはこのレシピのスパイスを探す作業になります。スパイスの分量によっては固まらないので、固まる分量になるまで何度もトライしてその最適な分量を探すイメージです。
マイニングもこのノンス値を膨大な計算をして探すことでブロックにトランザクション情報を記録できます。この作業が、ノード達が不正を働かないようにするための仕組みなんですね。
ブロックチェーンのユースケース
- 金融
- 医療
- 物流管理
- 行政手続きなどの公的分野
すでに利用されている分野もあるので、ブロックチェーンの活用方法は本当に多岐に渡ります。
本書でもいくつかのユースケースについて検討されていますが、その中でも面白い活用方法だなと思ったものがあります。
ブロックチェーン技術を使って人間を介さずにホテルの鍵を受け渡すという活用方法
ブロックチェーンはネットワーク上の技術で一方ホテルの鍵の受け渡しは物理的な行動。このネット空間と現実世界が交わることができるんだ!とブロックチェーンの可能性に驚きでしたね。
まとめ:ブロックチェーンの仕組みを網羅的に知りたい方はぜひ!
今回は「決定版 ビットコイン&ブロックチェーン」という本を紹介しました。
仮想通貨を勉強しようと思ったらまずは仮想通貨の王様ビットコインの仕組みからになると思いますが、この本が一冊あればビットコインとブロックチェーンの全体像は理解できます。
この本を読めば、ブロックチェーンに可能性を感じて、仮想通貨は終わったなという認識が変わるんじゃないでしょうか。
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